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その時々によって取れる蜜は変わるんです

─── なるほど。ずっとこの場所で養蜂を続けてらっしゃるのは、やはり蜂蜜を採る環境としてこの場所が適しているからでしょうか?

ここは発電所が猪苗代方面から白川方面に向かって4箇所あって、その河川敷の両側にアカシアが群生しているんですよ。だからここでは最高のアカシア蜜が取れます。他にも、三島や西会津、昭和村の奥のほうだと良いトチ蜜が採れますね。

どんな蜜が採れるかは、蜂の行動範囲の中にある花の割合が関係してきます。蜂の行動範囲ってだいたい2kmぐらいなので、その中に栗林がいたるところにある場所なら栗蜜が採れるし、一面がクローバーの花ならクローバーの蜜が採れます。どんな花から採った蜜かによって、味や香り、粘りは全然違います。

今の時期(7月後半)だと、今年は「けんぽなし」の蜜が採れているみたいです。蜜蜂がどんな花から蜜を採っているのか実際に尾行して確かめたわけじゃないから、断言はできないんですが(笑)
舐めてみるとアカシアの味でもないし、何の蜜だろうと思って調べてみるとこの花が咲いていたので。
今までけんぽなしの蜜が採れたことはないんですが、今年は特別暑かったですからね。それぞれの花に蜜を吹く温度や湿度といった条件があるので、その時々によって取れる蜜は変わるんです。

─── それはすごく面白いですね。
ところで、3月の地震やその後の放射能問題で、大きな被害はありましたか?

物的な被害はほとんどなかったですね。いわきのほうに預けていた蜂が津波に飲まれそうになりましたが、預けていた場所の100~200メートル手前で津波が止まって、なんとか助かりました。
放射能のほうも心配だったので検査に出したのですが、「検出されず」という結果が返ってきたのですごく安心しました。一部の方には「去年採れたものをください」と言われたりするんですが、去年のはもうなくなっちゃいました。

ただ、これは私の個人的な考えなのですが、人間に影響を与えるような放射能を受けたら、蜜蜂は死んでしまうと思うんですよ。蜜蜂ってすごく敏感な生き物なので。
それにあれだけ線量数値の高い野菜の花からも蜜を集めてくるのに、原発に近い浜通りのほうで採れた蜜でも暫定値よりかなり低い値なんですね。元々数値の高い野菜の花から集めてきた蜜はもっとすごいんじゃないかと思われがちですが、実はそうではないんです。

チェルノブイリの事故の後、体内から放射能を排出するにはローヤルゼリーが一番良いという話も聞きましたし、蜂蜜には放射能を消してくれる物質があるんじゃないかと言う方もいるみたいです。科学的に証明されたわけではないんですけどね。